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桃源郷の記 

中国バーシャ村の人々との10年

著:竹田武史

新潮社(2015年11月発刊)
四六版変形 191ページ
定価1800円+税

桃源郷はどこにある?

竹田は20代半ばにフリーランスの写真家として活動をスタートしました。今から思えば当初は、大陸の奥地に「桃源郷」を本気になって探し求める只々がむしゃらな駆け出しカメラマンでした。やがて中国は著しい経済成長を遂げ、隠れ里のような村にも変化の波がやってきました。山奥まで道路が伸び、電気や水道が普及し始めました。若者たちは現金収入を求めて出稼ぎに行くようになり、風物詩ともいえる賑やかな田植えや収穫風景はだんだんと見られなくなってきました。
これまでの旅もそうですが、ある答えを探し当てたときに旅が終わり、一つの世界が生まれます。今回は、古の詩人が想い描いた「桃源郷」の世界を、貴州省の山奥に暮らす苗(ミャオ)族の村に見出した竹田が、共に働き、飲み、歌い、恋をし・・・、十数年にわたる人々とのふれあいと、迫りくる近代化の波に翻弄される村の姿、そして家族の想いを通して、ある答えに辿り着くという内容。2001年から2014年まで、足かけ14年にわたるバーシャ村の人々との交流が生んだノンフィクション作品です。

 
温かな輪を自らの手で守り、築いていく喜び。本書はそれを優しく伝えてくれる。
— フォトジャーナリスト・安田菜津紀
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