コロナ禍の今を生きる~日中100人生の声 

みなさま、お久しぶりです!

先月末、ようやく緊急事態宣言が解除されました。

本当に長い自粛生活でした。

目に見えないウイルスへの恐怖、パンデミックという現象の中に、人と人、国と国を分断する大きな脅威が潜んでいることを強く感じさせられた時間でもありました。なにより私自身が、当初はまさに目に見えないウイルスの脅威に翻弄される一人でした。

中国の武漢市が、突然、都市封鎖される衝撃的な映像を目にしたのは、昨年1月、中国杭州市での撮影取材から帰国した1週間後のことでした。

そしてウイルスは日本へ・・・。

クラスター、ロックダウン、テレビをつけると聞きなれない言葉が連呼されていて、ウイルスが人から人へ感染していくプロセスを蛍光塗料と特殊カメラを使って検証した番組映像に、家族みんなで「うえ~!」と叫びながら、恐怖に慄いたものです。一箱6000円のマスクと2万円の空気清浄機を慌ててネットで注文し、ゴム手袋をした妻が一人で食材の買い出しに通い始めたのもこの頃です。

そして緊急事態宣言。突然、ぽっかりと空いた時間。埼玉県の田舎で農業を手伝わせてもらったり、移住計画を立ててみたり・・・。そして、これまで撮影で20年以上通い続けてきた中国との関係を断ち切るべきかどうかを、ひとり思い悩みました。

そのような状態からようやく本来の自分を取り戻したのは昨年秋頃のことです。理由はいろいろありますが、一つだけ挙げるとすれば、テレビのニュース番組、ワイドショーをきっぱりと見なくなったこと。専門家といわれる人たちの話を信じなくなったこと。彼らにただ同調している司会者やコメンテーターの発言、ウイルス感染の検証実験なる企画映像などを心底バカバカしいと思うようになったことです。

さて、このたび私が企画、編集、執筆をお手伝いした単行本『コロナ禍を生きる日中100人生の声』が出版されました。感染者数という数値化されたデータとただ恐怖を煽る映像にしか毎日触れる機会のなかった私たちが、今、本当に知りたいのは一人一人の生の声です。コロナ禍という現実を多面的に、より深く理解するためには、それぞれの経験を分かち合うことが何よりも大切と考えます。また、世界が停滞し、思わしくない方向へ向かいつつある日中関係を危惧しながら、私自身は一表現者、バランサーとしての役割をしっかりと果たしていきたいと思っています。あらためて、今、コロナ禍を生きる日本人と中国人100人の生の声をお届けします。ご興味ある方にはぜひ手に取って頂きたいと思います。

最後になりますが、執筆者の一人であり、昨年、コロナ禍によって会社が消えてしまった元「地球の歩き方」プロデユーサー・高島正人さんの言葉をここに紹介させていただきます。

――会社がなくなったときには、定年まであと数年を残して急にリタイアが前倒しになった気分だったが、実際にはそうでもなかった。今は、お声掛けをいただける間、それをありがたく受け取って、もう少しこの地での「出稼ぎ」を続けようという気持ちでいる。環境に言うことはない。何ができるか、何をするか、ただそれだけなのだ。

『和華』31号 日中100人生の声: コロナ禍の今を生きる | 雑誌『和華』編集部 |本 | 通販 | Amazon

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