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茶馬古道の旅

 中国のティーロードを訪ねて

著:竹田武史

淡交社(2010年4月発刊)
A5 176ページ(カラー96P)
定価 2,400円+税

日本の文化だといわれるものが、じつは他の国からやってきたものであったりすることは意外に多いのではないだろうか。

今回のテーマ「茶馬古道」は、世界の茶の原産地とされる中国・雲南の森で採れた茶を、馬やラバの背に積んでチベットまで運んだ古代交易の道です。長く険しいこの道を辿ることで、日本では日常茶飯となった茶の魅力を再発見してみようというのがこの旅の試みでした。

「茶馬古道」の取材を進めるにあたって、竹田は、まず、雲南の森に「茶樹王」と呼ばれる茶の古木を探すことから始めました。巨大な瀑布が流れ落ちる絶壁を這うように登り、鬱蒼と茂る密林の中を何時間も歩き続けたその先に、樹齢2700年といわれる茶の古木は聳え立っていました。樹高20mを超える大木と向き合い、その荒々しい木肌にそっと手で触れてみた時、茶樹の持つ不思議な生命力を感じずにはいられませんでした。また、「茶は薬である」という中国の古い記録にも素直に頷くことができました。古代の人々が茶の木に抱いたであろう畏敬を、その時に感じたからです。

雲南の森から始まる茶馬古道は、大理、麗江などの中継都市を経たのち、ヒマラヤから続く標高5000~6000m級の山々を越え、いくつもの大河を横切りながらチベットを目指します。中国奥地の交易路で、茶はどのように姿を変えていくのでしょう・・・。

2006年から2008年まで、延べ7か月間に及んだ旅の集大成です。

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